シャーロット・ブロンテ『ヴィレット』

 この絵は、まさに我こそ全作品中の女王であると言っているようだった。
 そこに描かれている女性は、等身大よりもかなり大きめに見えた。私の目算によれば、質量が評価基準となる商品にふさわしい計量単位に換算して、まず確実に体重が九十から百キロはあろうかと思われた。確かによく肥えた女性であった。あれだけの幅と背丈と筋肉と贅肉を獲得するまでには、かなりの獣肉――パンや野菜や酒類はもちろんのこと――を消費したに違いない。彼女は、理由はよくわからないが、長椅子にもたれかかるような感じで寝そべっており、その周りには日の光が燦々と降り注いでいる。血色もよく、普通の料理人二人分の仕事を軽くこなしそうなほど頑健そうに見え、とても腰が悪そうには見えない。立った姿勢で描かれていても不思議ではないし、同じ座るならもう少ししゃんとしていてもよさそうなものだ。真っ昼間からソファーの上でゴロゴロしている理由はない。それに、もう少しましな衣装を、身体をすっぽりと包み込むガウンか何かを着てもよさそうなものを、それもしていない。多量の材料――二十七ヤードはあろうかという垂れ布――を使ってわざわざつんつるてんの服に仕立てたという感じなのだ。それに、彼女を取り巻く部屋の荒んだありさまはごまかしようもない。壺や鍋――花瓶や酒杯と言うべきかもしれないが――が前景のそこここに転がり、そこに混じるようにみすぼらしい花が散らばっており、そして皺くちゃになったカーテンの布地が長椅子を埋め尽くし、雑然と床に広がっている。カタログを調べてわかったことは、この注目に値する作品に「クレオパトラ」という名前がつけられているということだった。