マンスフィールド「ロザベルの疲れ」(崎山正毅 訳)

 やがて夜が明けた。不意に、明けがたの冷気が彼女のむき出しの手の上にせまって来た――灰色の光がどんよりとした部屋に流れて来た。ロザベルは身ぶるいをし、小さくあえぐような息をして、おき上った。そして、まだすっかり目のさめないままに、口のまわりにちょっと神経質なふるえを見せて、微笑した――ロザベルが神から与えられたものは、その悲劇的楽天主義――それこそ、しばしば、青春の唯一の資産であるが――であったから。