アンドレ・ブルトン『ナジャ』(巖谷國士 訳)

かさねていうが、私は自分が昼ひなかを歩く人間だと信じるよりも、夜のなかを歩いているほうが好きだ。働いているあいだは生きていたってしかたがない。だれしも自分自身の生活の意味の啓示を権利として期待できる出来事、私はまだそれを見つけていないかもしれないが、それをめざす途上で自分をさがしている出来事、そういう出来事は、労働とひきかえに与えられるものではない

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