夏目漱石『断片』

世の中は自殺をして御免蒙る程の価値のあるものにあらず。


*前文に「面白い世の中だと云う者は小供か馬鹿である。苦しい世の中だと云うのは世の中を買いかぶった者の云うことである」とある。世の中が苦しいと言い、自殺して去りたくなるのはどこか世の中に期待する所があるからだ。初めから世の中は期待に値する何ものも持たない。