ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(原卓也 訳)

しかし、変人ぶりや奇行は、世の注目をひく資格を与えるというより、むしろ損うものである。特に、だれもが個々の現象を総合して、全体の混乱の中にせめて何らかの普遍的な意味を見いだそうと志しているような時代にはなおさらのことだ。奇人とはたいてい個々の特殊な現象だからである。そうではあるまいか?