ショーペンハウアー「著作と文体」(斎藤忍随 訳)

人間の力で考えられることは、いついかなる時でも、明瞭平明な言葉、曖昧さをおよそ断ち切った言葉で表現される。難解不明、もつれて曖昧な文体で文章を組み立てる連中は、自分が何を主張しようとしているかをまったく知らないと言ってよく、せいぜいある思想を求めて苦闘しながら、それを漠然と意識しているにすぎない。だが彼らはまたよく、言うべきことを何も所有していないという真実を、自分にも他人にも隠そうとする。