マリー・キュリー『ピエル・キュリー伝』(渡辺慧 訳)

発見は前もって積み重ねられた苦しい努力の結実であります。みのりの多い多忙の日々の間に、なにをやってもうまくいかない不安な日々がはいりこんできます。そういう日には研究対象そのものが敵対心をいだいているかとさえ思われてきます。こういうときこそ、じぶんの気の弱さや落胆とたたかわなければならないのです。ピエル・キュリーの不屈の忍耐心には一分のゆるみもありませんでしたが、それでもときには、
 「ぼくたちの選んだ人生は、やはりつらいな。」
ともらしました。