吉川幸次郎・三浦國雄『朱子集』

文字は汲汲として看るべし。悠悠たるは得(よ)からず。急ぎ看て、方(はじ)めて前面に看し底(もの)に接し得(う)。若し放慢なれば、則ち前面の意思(いみ)と相い接せず。某(それがし)の文字を看るや、看て六十一歳に到り、方めて略(ほ)ぼ道理を見得ること恁地(かくのごと)きを学ぶ莫れ。


本は倦ゆまず読むべきで、のんびりやっていたんでは駄目だ。急ぎ読んでこそ、さきに読んだものとつながってくる。もしのんべんだらりにやっておれば、さきの意味とつながらなくなる。私など本を読むのに、六一歳まで読んできて、やっとあらまし道理がこのように見えてきたが、こういう様を真似てくれるな。