ライト・ミルズ『パワー・エリート』(鵜飼信成・綿貫譲治 訳)

いかなる保守主義イデオロギーをも持たぬ保守的な国家であるアメリカは、今や、むき出しの、恣意的な権力として、全世界の前に立ち現われている。その政策決定者たちは、現実主義の名において、世界の現実について気狂いじみた定義を下し、それを押しつけている。精神的能力においては第二級の人物が支配的地位を占め、凡庸なことを重々しくしゃべっている。そこでは自由主義的言辞と保守的ムードが蔓延し、前者では曖昧さが、後者では非合理性が原則となっている。