拙者事(こと)不慎にて、上(かみ)へ御苦労相(あい)かけ候ては恐入(おそれいり)候間(あいだ)、今晩自殺致候。御母様へ対し申訳無之(もうしわけこれなく)、不忠不孝の名後世にのこり、何とも其許(そのもと)にも申訳無之、さぞ/\後に御困難可被成(ならるべく)候間、必死御救(おすくい)申上候様(よう)頼存(たのみにぞんじ)候。茂兵衛・喜太郎などへも宜敷(よろしく)、此様(このよう)なる書は涙のたね故、略し申候。頓首。
十月十日
助右衛門様
※茂兵衛 崋山の妹の夫。
※喜太郎 茂兵衛の子。
※助右衛門 崋山の弟で、岡崎藩士中山家を継いだ中山助右衛門。