寺山修司『新・書を捨てよ、町へ出よう』

 私たちは、日頃何とスラスラと話していることだろうか?
 そして、じぶんの話すことばに何の疑いを持たずに生活していることだろうか?
 どもりは、吃ることで自分の言葉をもう一度、心で嚙みしめることができるが、私たちはじぶんのことばをいつも早産する。それが的確に伝達をはたしているかどうかを不安に思いもせずに、早口にしゃべりまくる。