寺山修司『不思議図書館』

人間のエゴイズムをすべてうけ入れながら、いつも言いなりになり、ときどき自然に向って「帰ろうかな」と思っている犬のやさしさは、飼いならされた男たち、家路をいそくパパたちにもつながるさみしさを思わせるだろう。
 生きるかぎり、人もまた見えない首輪をはずすことなどできないのである。