寺山修司『家出のすすめ』

言葉というやつは、つまるところは自分の名をいうことではないか、というふうにも考えられるのです。
 犬がおしっこで自分の行為を記録するように、人はさまざまの言葉で自分の名を記録しようとこころみる。要するに生きるということは一つの名の記録へのプロセスだ、と考えるなら、自分の名さえ、太くつよく彫りこめばそれで青年時代は終わりなのかも知れません。