2012-02-25から1日間の記事一覧

寺山修司『家出のすすめ』

しかし、「自由」という言葉と「明日」という言葉は似ているのであって、それが現在形で手に入ったと思われるのは錯覚か死を意味するのです。

寺山修司『家出のすすめ』

しかし、不満のない人生など、闘いのない人生など、誰がいったい我慢できるものか。

寺山修司『家出のすすめ』

人間は、一つの言葉、一つの名の記録のために、さすらいをつづけてゆく動物であり、それゆえドラマでもっとも美しいのは、人が自分の名を名乗るときではないか……、とわたしはふと考えました。

寺山修司『家出のすすめ』

言葉というやつは、つまるところは自分の名をいうことではないか、というふうにも考えられるのです。 犬がおしっこで自分の行為を記録するように、人はさまざまの言葉で自分の名を記録しようとこころみる。要するに生きるということは一つの名の記録へのプロ…

寺山修司『家出のすすめ』

「期待する」ということに期待しすぎると幻滅するものです。

寺山修司『家出のすすめ』

しかし、現代にあって、人に悪口をいわれぬような人とは、おそらく無能な人であろう、というのがわたしの推理であります。

寺山修司『家出のすすめ』

ところで、わたしは言行不一致はそれなりで、なかなかいいものではないか、と考えています。すくなくとも、言行不一致を平気で容認していけるような太い神経だけが、長い歴史をすこしずつ変革してきたと考えられるからです。このことは、たとえば日本の反体…

寺山修司『家出のすすめ』

望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか?

寺山修司『家出のすすめ』

一人だけ暮らすことが不可能になり、福祉事務所から人が来て、わたしを親類のもとにあずけさせることになったのはその年の冬です。わたしが家を去る日、ふと思いついて畳をめくってみると、そこには母のヘソクリも成田さんの守護札もなくて、たった一冊の春…

寺山修司『家出のすすめ』

おそらく平凡な家庭の母子関係、それも一人息子と母親の関係においては、まったく母は子を食べようとするでしょう。