田村泰次郎「肉体が人間である」

 私は肉体の生理こそ、最も強烈にして唯一の人間的営為であることを、骨身に徹して知った。人間のどんな考えも、肉体を基盤にしなければ、頼りにならないものであることを、私は信じる。肉体こそ、すべてだ。三十七歳の私の肉体が、それを確信している。私は肉体から出たものでない一切の「思想」を、一切の考え方を、絶対に信じない。