田村泰次郎「肉体が人間である」

 私は思想というものを、自分の肉体だと考えている。自分の肉体そのもの以外に、どこにも思想というものはないと思っている。従って、私は自分の肉体性が、まだ十分作品行動として具体化されていないということで、私の小説はまだ十分に思想的でないとは自覚しているが、まったく「思想がない」とは考えていない。私は自分の肉体をどこまでも追求することで、思想を探求することが出来ると思っている。いや、自分の肉体を考えずに、思想というものの存立さえも、私には考えられない。