G・K・チェスタトン「ジョン・ブルノワの珍犯罪」(中村保男 訳)

人間というものは、いつも時と場合にぴったり合わないことにばかりに出くわしているので、つまりは不調和や不釣合いの雑音に慣れ、いわば不協和音の曲を子守歌にして眠ってしまうわけである。ところが、なにか、いかにもしっくりしたことが起こると、たちまち私たちは完全協和音の痛ましいショックでとび起きるというわけである。