トクヴィル『アメリカのデモクラシー』(松本礼二 訳)

 民主的な国民にあっては、文筆に秀でようという野心をもつ者はすべて、古代の著作を時には養分とすべきである。それは良い薬である。
 古代人の文学作品には非の打ち所がないと私が見ているわけではない。私はただ、それらには特別の長所があって、それがわれわれに固有の欠点を補うのに驚くほど役立ち得ると思うのである。そうした作品はわれわれが落ちるのを崖っぷちで支えてくれる。