阿部嘉昭『北野武VSビートたけし』

ノスタルジア自体、タルコフスキーによって映画的にも明らかにされたように、それは世界とは何ら有機的関わりをもてぬ人間が極度の断片として犬死する際の否定的要因にしかならない。ノスタルジアとは現代の人間がもっとも確実に死に至るための内在的劇薬であり、そうしたノスタルジアと共にある人間の姿は、浮遊するフラグメント――宙吊りされた未決定性としか捉え得ないものなのだ。