エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』(一條和生・杉山忠平 訳)

競争とは、近代市民社会で支配している万人対万人の戦争の、もっとも完全な表現である。この戦争、すなわち、生活のための、生存のための、あらゆるもののための戦争、したがってまた万一の場合には生死をかけた戦争は、社会のさまざまな階級のあいだだけではなく、これらの階級の個々の成員のあいだでもおこなわれる。どの成員も他の成員のじゃまとなり、そのためにだれもが自分のじゃまとなるすべての者を追い払い、とってかわろうとする。ブルジョアがたがいに競争するように、労働者もたがいに競争する。