J.ミシュレ『フランス革命史』(桑原武夫/多田道太郎/樋口謹一 訳)

 熱っぽさ、胸にしみとおるメロディ、これこそルソーの魔法であった。『エミール』や『社会契約論』のなかにある力は、議論の余地があり、打ち負かすこともできよう。しかし、その『告白』と『(孤独な散歩者の)夢想』によって、つまりその弱さによって、ルソーは勝ったのだ。すべての人が涙を流した。