ヘーゲル『精神現象学』(長谷川宏 訳)

せっかちな人は途中経過なしにいきなり目標を達成しようと考えるが、それは不可能な望みというものだ。途中のどれもこれもが大切なのだから、長い道のりを辛抱して歩かなければならない。また、一つ一つを丁寧に見てもいかねばならない。一つ一つがまとまった精神の形をとっていて、その特徴を具体的な全体として観察し、一つのまとまりをもつものとしてくっきりイメージできるようになったとき、はじめて申し分のない観察が得られたといえるのだから。