ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』(斎藤昌三 訳)

いったい、彼らが本当に探し求めているのは何なのだろう? 表向き探っているかのごとくにみえるものの奥に何かがあることは明らかである。その何かとは、ことによると、人間というものがどうしようもなく堕落しきっているという事実、人生とは白痴の頭のなかに浮かんだ俗悪な悪夢にすぎないという事実、その決定的な確証のごときものなのだろうか?