ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』(斎藤昌三 訳)

過去というものは、あるときは油まみれでつかまえにくい豚であり、あるときは洞窟にひそむ熊であり、またあるときは、そう、鸚鵡のきらめき、森のなかからあざけるようにこちらを見ている二つのキラキラ光る目のようなものにちがいないのである。