ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

人間と申すものは、善悪いずれにも徹することはできません。悪人にも美徳はあり、善人にも弱点はあります。善人に対しても悪人に対しても、寛容の徳が必要なのは、まったくこの真理に基づくので、これが善人を慢心から守り、悪人を絶望から救ってくれるのですから、私どもはなおさらこの真理を信じる必要があると存じます。