山田太一『逃げていく街』

明治の人たち、たとえば『坊ちゃん』に出てくる赤シャツなどという人たちは一種の近代主義者であったわけですが、そういう人たちは自分の軽佻浮薄をよく知っていたと思うのです。ぼくは、軽佻浮薄にならなければ近代化できなかったやりきれなさが明治にはつきまとっていたという気がするんです。