松浦理英子『優しい去勢のために』

当代の若者に限らず、もともと人は滅多に恋愛などしないものである。万葉集の昔から誰もが恋愛のイメージは抱いているけれども、生涯に一度恋愛ができれば幸運であって、たいていの人は〈準恋愛〉の相手を伴侶とし本格的な恋愛は経験しないまま一生を過ごす。