アントナン・アルトー『ヘリオガバルス または戴冠せるアナーキスト』(多田智満子 訳)

 つまり、神々は宇宙発生時においてのみ、渾沌状態(カオス)の闘いにおいてのみ、価値を認められるということである。
 物質の中に神々はない。均衡の中に神々はない。神々は力と力の分離から生まれ、それらが和合する時に死ぬ。
 神々は創造に近ければ近いほど、怖ろしい姿、それに内在する原理にふさわしい姿をしている。