ポール・オースター『孤独の発明』(柴田元幸 訳)

自分がいまいる場所にいること、父にはそれがどうしてもできなかった。生涯にわたって、父はどこか別の場所にいた。ここそこのあいだのどこかに。ここにいることはけっしてなかった。そこにいることもけっしてなかった。

   ※斜体は出典では傍点