ショーペンハウアー『幸福について―人生論―』(橋本文夫 訳)

他人の思惑にあまりにも重きを置き過ぎるということは、一般に見られる迷妄である。この迷妄はわれわれの本性に根ざしたものかもしれない。あるいは社交界と文明とに伴って生じたものかもしれない。いずれにもせよ、この迷妄はわれわれの言動全体に対して全く必要以上の影響を、しかもわれわれの幸福にとって有害な影響を及ぼしている。