藤原新也『死ぬな生きろ』

 日本列島は北海道、本州、四国、九州と主に四つの島からなるわけだが、四国という島は他の三島とはどこか趣が異なっている。
 少し宙に浮いていると言ったらいいのかも知れない。
 妙な言い方だが、四国を訪れるときいつも感じる思いがそれなのだ。少し宙に浮いているというのは、この世の現実からわずかに離れ、あの世に向っての浮遊感があるということだ。
 この四国独自の浮遊感覚は当地が昔から八十八ヶ所巡礼という信仰の場であったことと切り離すことができないように思う。