天沢退二郎『《中島みゆき》を求めて』

中島みゆきの歌にさまざまにひそみあるいはあらわれる《諦め》は、決して《この世見すえて笑うほど 冷たい悟り》ではなくて、なお熱い涙や、あられもない恨みやねたみの文句、他人からはあさましく見えもしよう姿の根底にしっかりと見定められているものなのである。それはすでに、《洞察》と言い換えられてよいかもしれない。