津島佑子『快楽の本棚』

文学で「性」が取り扱われることが多いのも、それが自由に解放されてしまっては、社会の秩序が守られなくなると、権力者たちがおそれていた最重要事項だったからにちがいない。女たちの「性」を管理しておかないと、父親の財産が「正当」に継承されなくなってしまうし、また、父親がだれかわからないのでは、うっかり後継者にもできなくなる。