2011-01-18から1日間の記事一覧

津島佑子『快楽の本棚』

文学で「性」が取り扱われることが多いのも、それが自由に解放されてしまっては、社会の秩序が守られなくなると、権力者たちがおそれていた最重要事項だったからにちがいない。女たちの「性」を管理しておかないと、父親の財産が「正当」に継承されなくなっ…

津島佑子『快楽の本棚』

人間は不思議なことに、どんな時代でも「物語」を自分の存在に求めているし、「物語」によって、相手を理解しようとし、社会に生きようとする。そういう生き物が、人間という存在なのだ。

津島佑子『快楽の本棚』

言葉をそれだけ、私たちは必要としている存在として生きてしまっている。それが幸せなことか、不幸なことか、少なくとも、言葉からまだ自由だった子ども時代に、あるいは、動物、植物に、私たちがつねに深いなぐさめを感じるのは、そこに理由があるにちがい…

津島佑子『快楽の本棚』

そして私が、とりわけ不思議に感じる事実は、人というもの、どうして壮年になっても、老年になっても、子ども時代の記憶に救いを感じつづけて生きるのだろうかということなのだ。

津島佑子『快楽の本棚』

このようにして本は待ちつづけてくれる