マリオ・ジャコメッリ(岡本太郎 訳)(マリオ・ジャコメッリ『MARIO GIACOMELLI 黒と白の往還の果てに』所収)

私は自分の写真のなかに、意味に至るまで繰り返された光と黒の緊張があって欲しいと思っている。シャッターを切る前にはかならず、被写体と魂の沈黙の取り交わしがあり、現実がコピー機から出てくるようにではなく、私にとっては無意識のかたちでありしるしである眼差しの詩を限りなく繰り広げるために、時知らぬ時のなかにとどめられるがための契約がある。言語はこうしてその外側にありつつも現実に優しく触れた内的表現の意識となり、それは私だけの現実の証しである唯一の瞬間、被写体の皮膚の下で、受動的な生の拡張でもある自由のために、規則にとらわれずに導かれた採取なのである。