鯖田豊之『肉食の思想』

 ヨーロッパでしか近代科学が誕生しなかったのは、もともと、キリスト教が、人間中心主義の立場から、まがりなりにも、森羅万象を説明する統一的論理を構築していたからである。近代科学は、ある意味では、そのできあがった論理をひっくり返し、別の形で再構成したものにすぎない。いわば、キリスト教自体が近代科学の芽を内包していたことになる。