2010-04-19 新藤涼子「小径」 孫引き引用 古びた校舎のかびた匂いが セーラー服から流れていた 小雨まじりのおさない日 女学校での長い梅雨どき コックリさん占いの指の先 こっそり秘密を胸にかかえて ひたいを寄せあっていた 咲く前のつぼみどき 赤い鳥居を絵に画いて コックリさん コックリさんと 呼び合った それから わたしたちはどこを巡り歩いた? 咲いたものを散らし散らして踏みつけて 叫んだり 泣いたり 笑ったり ほとんど はしっこまで来てしまった なにかを どこかでなくしたけれど ちっとも身軽にはなれなかった