源信『空観』

此の身(み)風前の灯(ともしび)のごとし、何ぞ執著(しゅうじゃく)有らん。此の質水上(すいじょう)の沫(あわ)のごとし、何ぞ愛心(あいしん)有らん。
〈解釈〉この身体は風にさらされた灯火のようにはかないもので、どうしてこれにとらわれることがあるだろうか。この身体の主体をなすものも、水にただようあわのようにはかないものだ。どうしてこれにとらわれることがあるだろうか。