夏目漱石「英国の文人と新聞雑誌」

此稿は極めて乱雑であるが一括して云へば初の新聞紙は皆政治的のものである。政治的でないものも文学的趣味に乏しかつたのである。夫が段々発達して有(あら)ゆる種類の文学が新聞雑誌の厄介になると云ふ時代になつた。是に連(つ)れて文学者と新聞雑誌との関係が漸く密切に成つて来て現今では文学者で新聞か雑誌に関係を持たないものはない様になつた。と云ふのが一篇の主意である。