クロード・シモン『アカシア』(平岡篤頼 訳)

彼女は読書した。というかむしろ(モンマルトルのえせ画家がふたりをかいた絵では、姉は刺繍の仕事に没頭し、彼女は黄色い表紙の本を手に肘掛椅子に腰かけ、その本を顔の高さの読みやすい距離にひろげていて)、本のページを繰るのだった。