文帝「短歌行(たんかかう)」(抄) (内田泉之助)

我獨り孤煢、此の百離を懷く。
憂心孔だ疚めども、我を能く知るもの莫し。
人も亦言ふ有り、憂は人をして老いしむと。


われひとりこけい、このひゃくりをいだく。
いうしんはなはだやめども、われをよくしるものなし。
ひともまたいふあり、うれひはひとをしておいしむと。


我獨孤煢 懷此百離
憂心孔疚 莫我能知
人亦有言 憂令人老


それにわれのみはひとりぼっちとなってこの限りない憂いをいだく、悲しみに痛むわが心を知るものはない。人はいう、悲しみは人をして老いしむと。