杜甫「江畔獨り歩して花を尋ぬ七絶句(かうはんひとりほしてはなをたづぬしちぜっく;江畔獨歩尋花七絶句)」(抄) (目加田誠)

是れ花を愛するならずんば即ち死せんと欲す
只だ恐る花盡きて老の相催さむことを
繁枝は容易に紛紛として落つ
嫩蘂は商量して細細に開け


これはなをあいするならずんばすなはちしせんとほっす
ただおそるはなつきておいのあひもよほさむことを
はんしはよういにふんふんとしておつ
どんずゐはしゃうりゃうしてさいさいにひらけ


不是愛花即欲死
只恐花盡老相催
繁枝容易紛紛落
嫩蘂商量細細開


花を愛さぬくらいなら死んだ方がいいと思う。ただ恐れるのは、花が散り尽くして、老いがわが身に迫ってくることだ。いっぱいに花をつけた枝は、すぐにハラハラ散りやすい。わかい花蘂(かずい)は斟酌して、少しずつ咲くがいいぞ。