李白「秋浦(しうほ)の歌 十七首 其の十五(秋浦歌十七首 其十五)」(全) (青木正兒)

白髮 三千丈
愁に縁って箇の似く長し。
知らず 明鏡の裏
何の處よりか秋霜を得たる。


はくはつ さんぜんぢゃう
うれひによってかくのごとくながし。
しらず めいきゃうのうち
いづれのところよりかしうさうをえたる。


白髮三千丈
縁愁似箇長
不知明鏡裏
何處得秋霜


 わが白髮(しらが)は三千丈、愁の長きによって白髮も此のやうに長いのだ。明鏡に映る我が首(かうべ)を見ていぶかる、一體何處(どこ)からこんな秋霜の如き白髮を得たのか知らぬ。