ジークムント・フロイト『夢判断』(高橋義孝 訳)

どんな夢もその夢を見ている本人自身を問題にしているということは例外のない一事実である。夢は徹頭徹尾利己的である。夢内容中に私の「私」ではなくて、ただ別の人間がひとり出てきた場合でも、私の「私」が同一化によってその人間の背後に隠れていると考えていい。私はそこに私の「私」を補足して差支えないのである。私の「私」が出てくる場合も、その「私」がたたされている状況は、その「私」の背後に別の一人物が隠れ潜んでいることを私に教えてくれる。