ラールス・グスタフソン(飯吉光夫 訳)

     「ロシアからの物語」(抄)


《若サノ故ニ踏ミニジラレシカズカズノ散文ノ間ニ》


しかし散文一つ一つのまわりはひっそりかんとした静けさ
歴史を厳密に吟味せよ――起こらずともすんだこと
歴史――領主たち 反乱 さまざまな語りつたえ 暗闇
ひどく寒い さえわたった月あかり 橇あとひとつない


凍てついているのは その窓々

     「謎の失踪」(抄)


鳥を探して行ってしまい
彼の姿はもう見あたらない 永遠に