テッド・ヒューズ(田村英之助 訳)

      「ゴグ」(抄)


俺の過失は何だったか。それはもう俺の頭蓋が閉じこめた。
俺の大いなる骨は、俺の中に集め合され、
地の上を音高く進み、自分の歌に興奮する。
俺は岩や石をみない、岩や石がみているものに俺は怯える。

       「十一月」(抄)


雨は一面に降り注ぎ 地面はやがて
打ち延ばされた鉛のように光った。私は走り、


飛びこんだ森で 黒樫によりかかって雨宿りした。
森の番人の絞首台には フクロウと鷹が首吊りにされ、
イタチやカラス、猫の一群も下がっていた。
あるものは硬直して干からび、乾いた樹皮ににて、


きびしい雨にうたれ回転(まわ)っていた。あるものはまだ輪郭(かた
 ち)をとどめ、
誇りもとどめていた。吊られて、顎を胸部に垂らし、
裸の頭にうちつけて脚から滴(したた)ってゆくこの最悪の日々を
ひたすら 待ち切ろうとしていた。