2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

コルタサル『石蹴り遊び』(土岐恒二 訳)

世の人々は、週に数時間ソファに座り、映画に行き、ときどきベッドに入ったりするだけで、あるいはたまたまオフィスで同じ仕事をしているというだけで、親密な仲だと信じこんでいる。若いころ、カフェで、なんとしばしば仲間たちとの一体感という錯覚がぼく…

『とまり木をください』(松谷みよ子/絵・司修)

「とまり木をください」(全) とんで とんで とびつづけて 止まろうとすると その木は燃え出すんです とべ とべ とべ とんで とんで 考えろ お前がどんなに馬鹿か 思いあがっているか いやらしい きたないブタか とべ とべ とべ ああ とまり木をください ほ…

ロバート・ロウエル(金関寿夫 訳)

「『アエネーイス』を読んでいてつい居眠り」(抄) 昔が全部いまになる。 「スカンクの時間」(抄) ぼく自身が もう立派な地獄。 ここには 誰もいない――

ホメロス『オデュッセイア』(松平千秋 訳)

「メドンよ、あの子はどうして旅などへ出て行ってくれたのだろうね、人間にとっては海の馬車の役をして、広い海を渡って行く速い船などに乗る必要は、あの子にはちっともないのに。自分の名前すら、この世に残したくないとでもいうのかしら。」

セーサル・バジェッホ(飯吉光夫 訳)

「九匹の怪物」(抄) そしてなやむこと それはとても苦しい……祈ってはみて も そして 痛みの 結果 生まれて来る者たちがある 育つ者 死ぬ者 生まれながらに死なぬ者 生まれぬさきに死ぬ者 生まれも死にもせぬ者(それがほとんどだ)がある そしてなやみの …

ホメロス『イリアス』(松平千秋 訳)

ところが「罪」の方は力も強く足も速い、祈願の女神たちを遥かに引き離してしまうから追いつかれる前に到る所で人間どもを損(そこな)い、女神たちはその後(あと)から罪を匡(ただ)してゆくことになる。

夏目漱石『こころ』

記憶して下さい。私はこんな風にして生きて来たのです。