2008-05-13から1日間の記事一覧

吉橋通夫「筆」

「きょう力があるものが、あしたも強いとはかぎらんのじゃ。ほんとうに強いのは、毎日のくらしをまもって生きてる町人や百姓じゃ。そやから、あきらめたらあかん。またこの町内へもどるという気持ちをもちつづけてたら、いつかその機会がある」

ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22』(飛田茂雄 訳)

なんといやらしい世の中だろう。彼はこの同じ晩に、繁栄を誇る自分の祖国においてさえ、どれだけの人々が窮乏に苦しんでいるだろう、どれだけの人々が掘っ立て小屋に住んでいるだろう、どれだけの夫が酔っぱらい、どれだけの妻がぶん殴られ、どれだけの子供…

王安石「北山(ほくざん)」(全) (今關天彭、辛島驍)

北山 緑を輸って 横陂に漲る 直も 囘塘を塹って 灎灎の時 細かに落花を數ふるは 坐すること久しきに因る 緩かに芳草を尋ぬれば 歸ること遲きを得たり ほくざん みどりをおくって わうひにみなぎる あたかも くゎいたうをほって えんえんのとき こまやかにら…