2008-07-22から1日間の記事一覧

蔡琰「悲憤の詩(ひふんのし;悲憤詩)」(抄) (内田泉之助)

人生幾何時ぞ、 憂を懷いて年歳を終へん。 じんせいいくばくときぞ、 うれひをいだいてねんさいををへん。 人生幾何時 懷憂終年歳 人の一生はどれだけもないのに、常に憂いをいだいて一生を終わらねばならぬとは、さてもはかないわが身である。

薛濤「巫山廟に謁す(ふざんべうにえっす;謁巫山廟)」(全) (辛島驍)

亂猿啼く處に 高唐を訪へば、 路は煙霞に入って 草木香し。 山色 未だ宋玉を忘るること能はず、 水聲 猶ほ是れ襄王を哭す。 朝朝 夜夜 陽臺の下、 雨と爲り 雲と爲って 楚國亡ぶ。 惆悵す 廟前 多少の柳、 春來 空しく畫眉の長きを 鬭はす。 らんゑんなくと…

蘇東坡「江城子(かうじゃうし)」(抄) (近藤光男)

十年 生死 兩ながら茫茫たり 思ひ量らざれど 自ら忘れ難し 千里の孤墳 淒涼を話するに處無し 縱使ひ相逢ふとも 應に識らざるべし 塵は面に滿ち 鬢は霜の如し じふねん せいし ふたつながらばうばうたり おもひはからざれど おのづからわすれがたし せんりの…