2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧
笑はれるのを恐れるよりは心にないことを云ふのを恐れなければいけない
花は見ずに見られに行く 今の世の花見は、桜を見るために行くのではなく、着飾った姿を人に見られるために出かけるのだ
反(かえ)し矢畏(おそ)るべし 反し矢(こちらで射たのを敵に拾われて射かえされた矢)には気をつけろ。
我は世界の頁の上の一つの誤植なりき
万有の真相は唯(ただ)一言(いちごん)にして悉(つく)す、曰く「不可解」
富貴(ふっき)は悪を隠し、貧は恥をあらはす 富貴な者は、少々の悪も金力にまかせて隠すこともできるが、貧乏者は、少しのことで恥をさらすことになる
金銀はまうけがたくて減りやすし 金銀は、儲けることはむずかしく、減りやすいものだ
かくばかりすべなきものか世間(よのなか)の道 こんなにまでどうしようもないものなのでしょうか、世の中の道理というものは。(「貧窮問答歌」の結句)
貸本屋外題(げだい)ばかりの学者なり 貸本屋の主人は、商売柄いろいろな書物に詳しいようだが、実は、書名だけを知っているに過ぎないのだ
軍人の誇りとするものはかならず小児の玩具(おもちゃ)に似てゐる
百になりても女郎は腰つき いくら年をとっても、昔遊女だった女は立ち居振舞い・身のこなしが、どことなく違うものだ
人間の義理ほどかなしきものはなし
金銀が町人の氏(うじ)系図 素性や家柄などには関係なく、金銀が町人の氏系図である。つまり、金をどれほど持っているかによって町人の身分がきまる
布施無い経(きょう)には袈裟をおとす 布施のない時には略式にして袈裟を用いないことより、報酬のないことに対しては、それ相当の粗略な扱いをすることをいう。
泣きながらまなこを配る形身分け 死者の葬礼も終わった後、親族で形身分けをする。故人の衣装や持物が出され、それぞれに故人の思い出があるわけで、涙を新たにしながらも、どれを貰おうかと目を配る。悲しみの中にも欲が出るという人間の姿を描いた句。
近江の湖に沈めても、一升入(い)る壺はその通りなり 広い琵琶湖に沈めても、一升入りの壺には一升しか水は入らない。物にはそれぞれ分際というものがあり、それ以上のことはできない
紅(くれない)は園生(そのう)に植ゑても隠れなし 才徳のすぐれた者は、どのような所にいようとも、自らそれと人に知られるものである。
何事も、めづらしき事を求め、異説を好むは、浅才(せんさい)の人の必ずある事なり すべてにわたって、人とは異なる方向を求め、異なる説を好むのは、あまり道を究めていない人に、よくあることである。
大隠(たいいん)は朝市(ちょうし)にあり 真の隠遁者は山野に隠れ住むのではなく、市中の人の間に隠れ住むものだ。
影をば踏まで、面(つら)をや踏まぬ (藤原公任の)影など踏まず、顔面を踏みつけてやろう。(藤原道長の若き日のエピソードである)
内(うち)劣りの外(そと)めでた 私生活はひどいが、外向きのことは立派である
その道に入らざれば、善悪のわかちを知らず どんな事でも、その道に深く入らなければ、よい事か悪い事かの区別はわからない
魚(うお)にあらざれば水の楽しみを知らず 人間は水を離れて生きることのできない魚を哀れに思うが、魚ではないから魚の本当の喜びを知ることはできない。そのようにすべて、そのものでなければ、本当の所は知り得ないのだ。
校塔に鳩多き日や卒業す
麦秋の中なるが悲し聖廃墟
ただも行かれぬが無沙汰のなりはじめ 一度訪ねなければいけないのだが、まさか手ぶらで行くわけにもいくまい、手土産に持って行くのは何がよいか、などとぐずぐずしているのが、無沙汰の始まりだ